前職での15年間
私は中堅のIT企業でエンジニアとして15年間勤めていました。
そこで扱っていたのは、公共性の高い分野で利用される業務システム。かつては自社開発から運用保守まで一貫して手掛けていましたが、現実は理想とは程遠いものでした。
- 不具合の多発
- 納期遅延
- 必要な機能の欠落
- 結果的に大炎上
その後は大手ベンダーがシェアを獲得し、元々の顧客もそちらへ移っていきました。事業は縮小し、かつて積み上げてきた技術やノウハウも風化していき、「努力が報われない職場」という印象が強まりました。
辞める決断をした理由
1. 年収の相場感に差があった
長く働いても、自分の年収は同年代・同業種の水準より低いと感じていました。市場価値に見合った評価を受けたいという思いが募りました。
2. 手当の制度にカラクリがあった
一見すると手厚い住宅手当も、条件や期限が細かく制限されていて、結局のところ「長期的には損をする仕組み」になっていました。
3. キャリアパスが見えなかった
日々の仕事は運用・保守や顧客対応が中心となり、エンジニアとしての成長を感じられなくなっていました。かつて挑戦的な開発に関わっていた時期もありましたが、それも過去の話。自分の役割が「人手を補う要員」と化している感覚が強まったのです。
4. 評価基準の偏り
会社の評価は「どれだけ売上に直結するか」が絶対基準でした。
高度な技術力や長期的に会社の競争力を支える実績は軽視され、改革を進めようとする人も現れませんでした。なぜなら、挑戦してもリスクばかりで報酬は見合わないという空気が定着していたからです。
転職して感じたこと
転職して初めて、「前職で真剣に悩んでいたことは井の中の悩みにすぎなかった」と実感しました。
上司の小言やサービス残業、制度のカラクリ…。井戸の中にいるときは人生のすべてに思えても、外に出れば本当に些細なことでした。
実際に市場に出てみると、自分の経験やスキルは想像以上に高く評価され、環境も待遇も改善されました。
「あんなに悩んでいたのは何だったんだろう」と思えるほど、視界が広がったのです。
同じ境遇にいる人へ
もし今の会社で悩んでいるなら、まずは外の世界を覗いてみてください。
転職活動は退職とイコールではなく、自分の市場価値を確かめる確認作業です。
井の中に閉じこもって消耗するよりも、一歩踏み出して大海を見に行った方が、人生はずっと豊かになります。


コメント